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ギフテッド教育に関するアドバイス
更新日:2023-01-28

掲載にあたって,大きな意訳や改変が加わっている可能性があります.もし正確な内容を知りたければ,原文を読むのがもっとも正確でしょう.また,これは必ずしも制作陣の立場を反映しているものとは限らないことに留意してください.

なお,この記事の翻訳・掲載にあたっては,筆者であるテレンス・タオ氏による許可を得ています.

Advice on gifted education

もしあなたのお子さんにできる贈り物が一つだけだとしたら,それは「熱意」にしなさい (Bruce Barton)

教育とは,複雑で,多面的で,そして骨の折れるプロセスである.そして,教育を受ける子どもが才能に恵まれているからといって,こうした性質は低減されるものではない.私は,ギフテッド教育におけるいかなる「銀の弾丸」に対しても警告を与えたい.特殊な学校教育,個別指導,家庭教育,飛び級,とにかく形態は問わない.こうした選択肢にはすべてそれぞれの長所と短所があるから,子ども・親・学校の要求・好み(それがアカデミックなものであるにせよ,そうでないにせよ)に基づいて比較検討されねばならない.これらは子どもごとに大きく変わることであるため,それぞれの環境に対して特有のアドバイスは与えかねる.

一方で,いくつかの一般的なアドバイスを提示することはできる.まず,「一流のなんたら大学でなんとかを何年で取得する」あるいは「なんたらテストで何歳で何点をとる」といったような,人工的なベンチマークに過剰に拘ってはいけないということ.長期的にみれば,こうした功績は子どもの人生のなかで最も重要なものではないし,最も決定的なものでもない.短期的にみたとしても,これらの目標に向けて過度に集中した場合のアドバンテージというのは,子どもの社会的・感情的・学術的・身体的・知的な発達における他の側面から奪われる時間とエネルギーによって,相殺される程度のものかもしれない.もちろん,彼らが望むならば,よく勉めること,そしてコンテストに参加することは依然勧められるだろう.しかし,コンテストでの成績やアカデミックな功績は,それ自体をゴールとしてではなく,むしろある科目に対する才能・経験・知識・楽しみを育む過程として捉えられるべきだ.

次に,楽しんでやることは重要だと考える.これは,キャリアにおいて持続的に活動するためであり,燃え尽き症候群を抑制するためでもあります.もし,親が子どもの才能を伸ばすために無理に教育を施しすぎて(あるいは施さなすぎて)その科目を好きでなくなってしまったら,それは悲劇的なことである.子どもの教育のペースは,親の熱意よりも,子供の熱意によって左右されるべきなのだ.

もうひとつ.子どもを称賛する際には,子どもが制御可能な努力や業績に向けてなされるべきであって,制御不能な生まれ持っての才能に向けてなされるべきではない.Po Bronson は,この点に関して素晴らしい記事を書いている.Scientific American の記事 “The secret to raising smart kids” も同様の観点のものである.

最後に,目標に向かっては柔軟であるべきだ.子どもは先天的には分野 X に才能があったかもしれないが,より楽しめる,あるいはより適合した分野 Y を選ぶかもしれない.これは,たとえ分野 Y が “権威ある” 分野でない場合にもよい選択である.「ホット」だが競争の激しい分野で働くよりも,あまり知られていない分野で,自分が有能で快適だと感じるように働く方が良い場合もある(Ricardo’s law of comparative advantage も参照).

私自身が受けた教育については,以下の記事に書かれている.私は自分が受けた教育に極めて満足しているが,子どもたち一人ひとりの環境や長所・短所は異なるので,私の経験が必ずしも他の家庭にとっての理想的なテンプレートになるとは限らないことを,改めて注意しておきたいと思う.

専門的なギフテッド教育について,記事 Center for Talented Youth を勧める.また「キャリアに関するアドバイス」も参考にされたい.