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KAMO 2019
更新日:2020-12-19

海陽中等教育学校 数学部によるKAMO 2019の問題および解答・解説を掲載します.

KAMOとは?

KAMO 2020の解説記事を参照してください.

問題・解答・解説

#1
代数
★☆☆☆☆
KAMO 2019 問1 (大平)

任意の正の実数 $a,b$ に対して以下の不等式が成り立つような, 実数 $k$ としてありうる最大の値を求めよ: \[(\sqrt{a}+\sqrt{b})^2\geqq k\left(\dfrac{1}{\sqrt{a}}+\dfrac{1}{\sqrt{b}}−\dfrac{1}{ab}\right)\]

$a=b=1$ を代入すると $k\leqq 4$ が必要であることがわかる. 一方で $k=4$ のとき \[\Bigl(\sqrt{a}+\sqrt{b}\Bigr)^2-4\left(\frac{1}{\sqrt{a}}+\frac{1}{\sqrt{b}}-\frac{1}{ab}\right)=\left(\sqrt{a}+\sqrt{b}-\frac{2}{\sqrt{ab}}\right)^2\geqq 0 \] であるから, 求める最大値は $4$ である.

工事中

#2
整数論
★★☆☆☆
KAMO 2019 問2 (兒玉)

平方数の(十進法での)各桁の数の和としてありうる正の整数をすべて求めよ.

工事中

工事中

#3
整数論
★★★☆☆
KAMO 2019 問3 (兒玉)

$2^x−3^y=5$ をみたす正の整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ.

$x\geqq 6$ のとき, $\bmod{64}$ と $\bmod{17}$ を観察することで解が存在しないことがわかる.

$x\leqq 5$ において個別に確かめれば, $(x,y)=(3,1),(5,3)$ が求める解であることがわかる.

工事中

#4
組み合わせ
★★★☆☆
KAMO 2019 問4 (平石)

$n,k$ を $n\gt k$ なる正の整数とする. 円周上に $n$ 個の点が等間隔に並んでおり, それらを順に $A_1, A_2,\ldots,A_n$ とする. また, 任意の整数 $i$ に対して $A_i=A_{n+i}$ とする.

紗夜と日菜が, これらの点を用いてゲームを行う. 具体的には, 紗夜は紫の, 日菜は緑のコマを用いて, 紗夜を先攻に次の操作を交互に行う:

  • $A_s$ にまだコマが置かれていないような整数 $s$ を選び, $A_s$ にコマを置く.
  • ただし, その直前に $A_{s−k}$ および $A_{s+k}$ に自分の色のコマが置かれていてはならない.

先にコマを置けなくなったほうが負けである. また, 最終的にすべての点にコマを置ききった場合は紗夜の勝ちとなる. このとき, 紗夜が日菜の行動にかかわらず必ず勝てるような $n,k$ の条件を与えよ.

求める条件は $n=2k$ である. 以下それを示す.

$({\rm i})$ $n=2k$ のとき: 紗夜は日菜が $A_s$ に置いた直後に, $A_{s+k}$ にまだ駒が置かれていない場合は $A_{s+k}$ に, そうでない場合はどこか空いているところに置く, ということを繰り返せば, すべての点に駒を置くことになる.

$({\rm ii})$ $n\neq 2k$ のとき: ある点 $A_s$ から始めて, $A_s,A_{s+k},A_{s+2k}\ldots$ と $k$ ずつ進んでいくと, いずれ元の点 $A_s$ に戻る. このときに通った $n/\gcd(n,k)$ 個の点を $1$ つのグループとする. $n$ 個の点は $\gcd (n,k)$ 個のグループに分かれ, $n\neq 2k$ より各グループは $3$ つ以上の点を含むことになる. 日菜は, 紗夜が $A_s$ に駒を置いた直後に, $A_s$ が属するグループに駒が $1$ つしか置かれていない場合は $A_{s+2k}$ に, $2$ つ以上置かれていた場合は $A_{s+k}$ に置くこととする. このようにすれば, どちらも駒が置けない場所が存在し, 日菜は紗夜の行動にかかわらず必ず駒を置けるので, 必ず日菜が勝つことができる.

工事中

#5
幾何
★★☆☆☆
KAMO 2019 問5 (平石)

円 $\Omega$ に四角形 $ABCD$ が内接しており, 線分 $AC$ 上の点 $P$ が $\angle ABP=\angle CDP$ および $\angle ADP=\angle CBP$ をみたす. $P$ を通り $AC$ に垂直な直線と $\Omega$ が $2$ 点 $S,T$ で交わっており, $S,T$ における $\Omega$ の接線が $X$ で交わっているとき, $4$ 点 $B,D,P,X$ は同一円周上にあることを示せ.

$\Omega$ の中心を $O$ とする. $\angle ABC=\angle ADC$ および $\angle ABC+\angle ADC=180^\circ$ より $\angle ABC=\angle ADC=90^\circ$ であり, $O$ は $AC$ 上にある. $BP,DP$ と $\Omega$ の交点であって, $B,D$ とは異なるものをそれぞれ $B’,D’$ とする. すると, \[\angle B’AC=\angle B’BC=\angle D’DA=\angle D’CA\] となり, 四角形 $AB’CD’$ が長方形であることが分かる. よって $O$ は $B’D’$ 上にある.

次に, $\angle OSX=\angle OTX=90^\circ$ より $4$ 点 $S,T,O,X$ は同一円周上にあり, \[OP\cdot XP=SP\cdot TP=DP\cdot D’P\] より $4$ 点 $D,O,D’,X$ は同一円周上にある.

以上より, $\angle PXD=\angle OD’D=\angle PBD$ となり, $4$ 点 $B,D,P,X$ が同一円周上にあることが示された.

工事中

#6
代数
★★★☆☆
KAMO 2019 問6 (兒玉)

正の整数に対して定義され正の整数値をとる関数 $f$ であって, 任意の正の整数 $m,n$ に対して \[ f^{f(m)}(n)=f^n(m)+1 \] をみたすようなものをすべて求めよ.

求める関数は $f(n)\equiv n+1$ のみであることを示す. これは明らかに与式をみたす. $P(n,f(m))$より \[f^{f(n)+1}(m)=f^{f(m)}(n)+1=f^n(m)+2\]  まず $f(n)\geqq n+1$ を示す. ある正の整数 $n$ について $f(n)=n$ と仮定すると, $P(n,n)$ より $f^n(n)=f^n(n)+1$ となり矛盾する. また, ある正の整数 $n$ について $f(n)\leqq n-1$ であると仮定し, $f(n)+1=n-k$ とおく. このとき \[f^{n-k}(m)=f^n(m)+2\] $m$ に $f^k(m),f^{2k}(m),\ldots, f^{ik}(m)$ を代入すると \[f^{n-k}(m)=f^n(m)+2=f^{n+k}(m)+4=\cdots=f^{n+ik}(m)+2(i+1)\] となるが, $i$ を十分大きくとると $f^{n-k}(m)\lt 2(i+1)$ となるため, $f^{n+ik}(m)\gt 0$ に矛盾する.

よって $f(n)\geqq n+1$が示された. これを繰り返し用いると \[f^{f(m)}(1)\geqq f^{f(m)-1}(1)+1\geqq \cdots \geqq f(1)+f(m)-1\geqq 1+f(m)\] 一方 $P(m,1)$ より $f^{f(m)}(1)=f(m)+1$ であるから, すべての不等号は等号となり, 特に $f(1)=2$ である.

以下, 数学的帰納法によりすべての $n$ について $f(n)=n+1$ となることを示す. ある $k$ について, 任意の $n\leqq k$ で $f(n)=n+1$ と仮定する. このとき以下より, $f(1)=2$ とあわせて $f(n)\equiv n+1$ が示された. \[f(k+1)=f(f(k))=f^{f(1)}(k)=f^k(1)+1=f^{k-1}(2)+1=\cdots=f(k)+1=k+2\]

工事中

#7
幾何
★★★☆☆
KAMO 2019 問7 (平石)

円 $\Gamma$ に内接し, $AB\lt AC$ をみたす三角形 $ABC$ において, $\Gamma$ の弧 $BC$ ($A$ を含まない方) の中点を$N$, 辺 $BC$ の中点を $M$ とし, それぞれ辺 $AB,AC$ 上の点 $D,E$ が $BD=CE$ をみたしている. $\Gamma$ 上に点 $P$ を $AP\parallel DE$ となるようにとる. また, 点 $N$ から直線 $DE$ におろした垂線の足を $H$ とする. このとき, $4$ 点 $P,H,M,N$ は同一円周上にあることを示せ.

$DE$ と $BC$ の交点を $F$ とし, 点 $Q$ を $NQ$ が円 $\Gamma$ の直径となるような点とする. \[DB=EC,\quad QB=QC,\quad \angle QBD=\angle QCE\] より $\triangle QDB\equiv \triangle QCE$. よって $\angle QDA=\angle QEA$ より $4$ 点 $A,D,E,Q$ は同一円周上に存在する. したがって \[\angle QEF=\angle QAB= \angle QCF\] となり, $4$ 点 $Q,E,C,F$ も同一円周上に存在する. これを用いると, \[\angle QFE=\angle QCA=\angle QPA\] が分かり, これと $AP\parallel DE$ より $Q,P,F$ が同一直線上にあることが分かる. したがって, \[\angle NPF=180^\circ -\angle QPN=90^\circ\] また, $\angle NMF=\angle NHF=90^\circ $ であるから, $5$ 点 $F,P,H,M,N$ は同一円周上にある.

工事中

#8
組み合わせ
★★★☆☆
KAMO 2019 問8 (平石)

$m,n$ を $3$ 以上の奇数とし, $m\times n$ のマス目に $1$ 以上 $mn$ 以下の整数を一つずつ, 次の条件をみたすように書き込む:

  • 一番左下のマスに $1$, 一番右上のマスに $mn$ を書き込む.
  • 任意の $1$ 以上 $mn−1$ 以下の整数 $i$ について, $i$ が書かれたマスと $i+1$ が書かれたマスは辺で接している.

このとき, $1$ 以上 $mn−3$ 以下の整数 $k$ であって, $k$ が書かれたマスと $k+3$ が書かれたマスが辺で接しているようなものの個数としてありうる最小の値を求めよ.

todo: 図の作成

求める最小の値は $2$ であることを示す.

数を書き込む操作は, 左下から右上までの道を書き込む操作と言い変えることができる. このとき, 図1の $A$ ~ $D$ のような部分の数の最小値を求める問題と言い換えられる.

まず, このような部分が必ず $2$ か所以上現れることを示す. $A$ と $B$ のうち少なくとも一方は $1$ か所以上現れることを示す. $A$ と $B$ がどちらも現れないとして矛盾を導けばよい. ここで左上の角を考えると, 必ず図2のようになる. そして $☆$ のマスを考えたとき, $A$ と $B$ が $1$ つもないという仮定から, このマスは図3のようにならなければならないと分かる. 次に図3の $★$ のマスについて考えると, 同様に図4のようになる. これを繰り返していくと, マス目の下端または右端に達したときに矛盾する. よって $A$ と $B$ の少なくとも一方は $1$ か所以上現れる.

同様に, 右下の角を考えることでCとDの少なくとも一方は $1$ か所以上現れることが示せるので, 図1の $A$ ~ $D$ のような部分が $2$ か所以上現れることが示された.

逆に図5のように渦巻き状の道を作れば, 図1のような部分はちょうど $2$ か所になることが分かる.

工事中

#9
幾何
★★★☆☆
KAMO 2019 問9 (兒玉・平石)

円 $\Gamma$ に内接し, $AB\lt AC$ をみたす三角形 $ABC$ において, $\Gamma$ の弧 $BC$ ($A$ を含む方) の中点を $K$, 弧 AB ($C$ を含まない方) の中点を $M$, 弧 $AC$ ($B$ を含まない方) の中点を $N$ とする. また, 直線 $AB$ と直線 $KM$ の交点を $P$, 直線 $AC$ と直線 $KN$ の交点を $Q$ とする. 三角形 $ABC$ の角 $A$ 内の傍接円と辺 $BC$ の接点を $D$ とするとき, $AD\parallel PQ$ を示せ.

三角形 $ABC$ の内心を $I$, 辺 $BC$ の中点を $R$, 弧 $BC$ ($A$ を含まない方)の中点を $S$ とする. 六角形 $KNBACM$ に注目するとPascalの定理より $I,P,Q$ は同一直線上にある. また六角形 $ABCMKS$ に注目するとPascalの定理より $P,I,R$ は同一直線上にある. よって直線 $PQ$ と直線 $IR$ は一致するため, $IR\parallel PQ$ を示せばよい.

三角形 $ABC$ の内接円と辺 $BC$ の接点を $E$ とし, 線分 $EF$ が三角形 $ABC$ の内接円の直径となるように点 $F$ をとる. well-known fact として $A,F,D$ は同一直線上にあり, かつ $RE=RF$ となる. よって中点連結定理より $FD\parallel IR$ となり, 題意は示された.

工事中

#10
整数論
★★★☆☆
KAMO 2019 問10 (平石)

正の整数 $n$ に対し, $n!$ がもつ正の約数の個数を $S_n$ とおく. $i$ 番目に小さい素数を $p_i$ とするとき, \[S_n=\prod_{k=1}^{\infty}\left\lceil\dfrac{n}{p_k−1}\right\rceil\] となるような正の整数 $n$ をすべて求めよ. ただし, $\left\lceil x\right\rceil$ で $x$ 以上の最小の整数を表す.

まず, 次の式が成立する. \[S_n=\prod_{k=1}^{\infty}(1+{\rm ord}{p_k}(n!))\] 一方で \[{\rm ord}{p_k}(n!)=\sum_{i=1}^\infty \Biggl \lfloor \frac{n}{p_k^i} \Biggr \rfloor\lt\sum_{i=1}^\infty \frac{n}{p_k^i}=\frac{n}{p_k-1} \implies 1+{\rm ord}_{p_k}(n!) \leqq \left \lceil \frac{n}{p_k-1}\right \rceil\] 以上より, $n$ が条件をみたすとき, 上式の不等号が任意の $k$ について等号となる必要がある.

ところで, $n$ を次のように $p$ 進法で表示する. \[n=\sum_{i=0}^\infty r_i p^i\] これを用いて, 次のように変形する. \[{\rm ord}{p}(n!)=\sum{i=1}^\infty \left\lfloor \frac{n}{p^i}\right\rfloor=\sum_{i=1}^\infty \sum_{j=0}^\infty r_{i+j}p^j\] 最右辺はさらに次のように変形される. \[\sum_{i=1}^\infty \sum_{j=0}^\infty r_{i+j}p^j=\sum_{i=1}^\infty \sum_{j=0}^\infty r_j p^{j-i}-\sum_{i=1}^\infty \sum_{j=0}^\infty r_j p^{-i}=\frac{n}{p-1}-\frac{1}{p-1}\sum_{j=0}^\infty r_j\] 以上より, \[\frac{1}{p-1}\sum_{j=0}^\infty r_j=\frac{n}{p-1}-\left\lceil\frac{n}{p-1}\right\rceil+1 \leq 1 \implies \sum_{j=0}^\infty r_j \leq p-1\] つまり, $n$ を $p$ 進数で表したときの各桁の和が $p-1$ 以下になる.

$p=2$ のときを考えると $n$ は $2$ べきであるから, 非負整数 $a$ を用いて $n=2^a$ と表す.

$({\rm i})$ $n$ を $3$ 進法で表示したときの各桁の和が $1$ のとき: $n$ が $2$ べきでも $3$ べきでもあることから, $n=1$ である.

$({\rm ii})$ $n$ を $3$ 進法で表示したときの各桁の和が $2$ のとき: 非負整数 $b\geqq c$ を用いて $2^a=n=3^b+3^c$と表せる. $\bmod{3}$ と $\bmod{8}$ を見ることで, 解が $(n,a,b,c)=(2,1,0,0),(4,2,1,0)$ のみであることが分かる.

逆に $n=1,2,4$ は条件をみたすから, これらが求める解である.

工事中

#11
代数
★★★☆☆
KAMO 2019 問11 (平石)

実数に対して定義され実数値をとる関数 $f$ は, 任意の実数 $x,y$ に対して以下の条件をみたす: \[ f(x)\neq 1\ \text{かつ}\ y=\dfrac{f(x)+1}{f(x)-1} \implies f(y)\neq 1\ \text{かつ}\ x=\dfrac{f(y)+1}{f(y)-1} \] さらに実数 $a\neq 1$ および正の整数 $n$ が以下の式をみたすとき, $f^a(n)$ としてありうる値をすべて求めよ: \[ f^{2n}(a)=\dfrac{a+1}{a-1} \]

関数 $F:\mathbb{R}\rightarrow\mathbb{R}$ が任意の実数 $x,y$ について次をみたすとき, これを面白い関数}とよぶこととする. \[y=\frac{F(x)+1}{F(x)-1}\implies x=\frac{F(y)+1}{F(y)-1}\]

補題.

任意の正の整数 $m$ について, $f^m$ は面白い関数である.

証明.

$m$ に関する帰納法で示す. $k\geqq 2$ について, $m\leqq k-1$ のときに成立を仮定すると, \[y=\frac{f^k(x)+1}{f^k(x)-1}\implies f(x)=\frac{f^{k-1}(y)+1}{f^{k-1}(y)-1}\implies f^{k-1}(y)=\frac{f(x)+1}{f(x)-1}\implies x=\frac{f^k(y)+1}{f^k(y)-1}\] より $m=k$ でも成立する. $m=1$ は仮定であるから, 以上より示された.

補題より以下が成立し, これより $f^n(a)=1\pm \sqrt{2}$ が必要である. \[f^{2n}(a)=\frac{a+1}{a-1}\implies a=\frac{f^{2n}(a)+1}{f^{2n}(a)-1}\implies f^n(a)=\frac{f^n(a)+1}{f^n(a)-1}\]  逆に $f(x)=x$ は条件をみたし, $n=1,a=1\pm \sqrt{2}$ とすればいずれもありうるから, これらが求める値である.

工事中

#12
組み合わせ
★★★☆☆
KAMO 2019 問12 (兒玉・平石)

平面上に相異なる点 $P_1, P_2,\ldots, P_{25}$ があり, どの $3$ 点も同一直線上にない. このうち任意の $2$ 点を結ぶ線分がそれぞれ赤色または青色で塗られているとき, このうち $3$ 点を頂点とする三角形であって, 三辺がすべて同じ色で塗られているようなものの個数としてありうる最小の値を求めよ.

三角形 $P_iP_jP_k$ であって, $3$ 辺が同じ色である三角形を良い三角形, そうでない三角形を悪い三角形とよぶ. また, 相異なる $3$ 点の順序付きの組 $(P_i,P_j,P_k)$ であって, 辺 $P_iP_j,P_jP_k$ がそれぞれ赤, 青で塗られているものをすごい組とよぶ.

このとき, すごい組の個数は悪い三角形の個数の $2$ 倍である. なぜならば, \[(P,Q,R),(P,R,Q),(Q,P,R),(Q,R,P),(R,P,Q),(R,Q,P)\] のうちすごい組の個数は, 三角形 $PQR$ が良いとき, 悪いときでそれぞれ $0,2$ 個だからである. また, 頂点 $P$ から赤い辺が $n$ 本出ているとき, $(*,P,**)$ の形のすごい組は $n(24-n)\leqq 144$ 個であるため, 全体ですごい組は $3600$ 個以下である. よって悪い三角形は $1800$ 個以下であるから, 良い三角形は少なくとも ${}_{25}{\rm C}_3-1800=500$ 個ある.

逆に良い三角形が $500$ 個となる辺の塗り方が存在することを示す. 添字を $\bmod{25}$ で同一視する. $P_iP_{i+k}$ ($i$ は整数, $k$ は $1$ 以上 $6$ 以下の整数) と表される辺をすべて赤で, 他の辺をすべて青で塗れば, どの頂点からも赤い辺が $12$ 本出るため, 上の評価において等号が成り立ち, 特に良い三角形が $500$ 個となる. 以上より, 求める最小値は $500$ である.

工事中

#13
組み合わせ
★★★☆☆
KAMO 2019 問13 (兒玉・平石)

$25$ 人の学生がおり, どの $2$ 人の組についても互いに会話をするかしないかのいずれかである. このとき, どのように $5$ 人でバンドを組んでも, その中に互いに会話をする $2$ 人の組が存在した. $25$ 人の中で, 互いに会話をする $2$ 人の組の個数としてありうる最小の値を求めよ.

一般に学生が $n~(\geqq 5)$ 人であるとする. このとき, 求める最小値は, 以下で定まる $f(n)$ で与えられる. \[ f(n)=\begin{cases} n(n-4)/8 & n\equiv 0 \pmod 4 \\ (n-1)(n-3)/8 & n\equiv 1,3 \pmod 4 \\ (n-2)^2/8 & n\equiv 2 \pmod 4 \\ \end{cases} \] これを $n$ についての帰納法で示す. $n=5$ のとき明らかであるから, ある $k\geqq 6$ について $n=k-1$ で成立を仮定する.

$n=k$ 人の生徒に $1,\ldots,k$ の番号を振る. このとき, 相異なる $i,j$ について, 生徒 $i$ と $j$ が会話したとき $E(i,j)=1$, そうでないとき $E(i,j)=0$ とおく. また, $S=\{1,2,\dots,k\}, S_m=S-\{m\}$と定める. いま \[\sum_{i,j\in S,~ i\lt j}E(i,j) = \frac{1}{k-2}\sum_{m\in S} \sum_{i,j\in S_m,~ i\lt j}E(i,j) \geqq \frac{1}{k-2}\sum_m f(k-1)=\frac{k}{k-2}f(k-1)\] ここで $\left\lceil \frac{k}{k-2}f(k-1) \right\rceil=f(k)$ が証明できるから, 上式の左辺は $f(k)$ で下から抑えられる.

逆に, 実際に $f(k)$ にできることを示せばよい. $k$ を $4$ で割った余りが $r$ であるとき, $\lfloor \frac{k}4\rfloor+1$ 人のグループを $r$ 個, $\lfloor \frac{k}4\rfloor$ 人のグループを $4-r$ 個, 合計 $4$ つのグループを作る. $2$ 人が同じグループであるとき, かつそのときに限り両者が会話すると, これは条件をみたし, かつ会話をする組が $f(k)$ 個であることが容易に確かめられる.

以上より求める最小値が $f(n)$ で与えられることが示され, 特に $f(25)=66$ である.

工事中

#14
組み合わせ
★★★★☆
KAMO 2019 問14 (兒玉)

$n$ を $2$ 以上の整数, $k$ を $0$ 以上 $n$ 以下の整数とする. ある学校に男子と女子が何人かおり, どの男子と女子についても互いに知り合いであるか知り合いでないかのどちらかである. どの男子もちょうど $n$ 人の女子と知り合いであり, どの女子もちょうど $n$ 人の男子と知り合いである. また, どの $2$ 人の男子についても, 共通の知り合いである女子はちょうど $k$ 人である. このとき, どの $2$ 人の女子についても, 共通の知り合いである男子はちょうど $k$ 人であることを示せ.

男子と女子の人数が等しいことは明らかである. 男子, 女子の集合をそれぞれ $\{b_1,\dots,b_m\},\{g_1,\dots,g_m\}$ とし, 女子 $i$ と女子 $j$ の共通の知り合いである男子が $K(i,j)$ 人いるとする.

まず組 $(b_i,b_j,g_p,g_q)$ であって, $b_i$ と $g_p$, $b_i$ と $g_q$, $b_j$ と $g_p$, $b_j$ と $g_q$ がすべて知り合いであるようなものの数を数える. 任意に男子を $2$ 人選んだとき, その共通の知り合いである女子は $k$ 人であるので, そのような組の数は \[{}_m{\rm P}_2 \cdot {}_k{\rm P}_2=m(m-1)k(k-1)\] である. 一方, 任意に女子を $2$ 人選んだとき, 同様に考えるとそのような組の数は \[\sum_{1\leq p, q\leq m} {}_{K(p,q)}{\rm P}_2=\sum_{1\leq p, q\leq m} K(p,q)(K(p,q)-1)\] となる. これらは等しいため \[m(m-1)k(k-1)=\sum_{1\leq p, q\leq m} K(p,q)(K(p,q)-1)\]  次に, 組 $(b_i,b_j,g_p,g_q)$ であって, $b_i$ と $g_p$, $b_j$ と $g_p$, $b_j$ と $g_q$ は知り合いだが, $b_i$ と $g_q$ は知り合いでないものの数を数える. 上と同様にして $2$ 通りの数え方をすることで, \[m(m-1)k(n-k)=\sum _{1\leq p, q\leq m} K(p,q)(n-K(p,q))\]  両式を連立すると \[\sum _{1\leq p, q\leq m} K(p,q)=m(m-1)k,\quad \sum _{1\leq p, q\leq m} K(p,q)^2=m(m-1)k^2\] よって \[\sum _{1\leq p\lt q\leq m} (K(p,q)-k)^2=0\] より, 任意の $p,q$ について $K(p,q)=k$ であることが示された.

別解1. 組 $\{g_p,b_q,b_r\}$ であって, $g_p$ と $b_q$, $g_p$ と $b_r$がともに知り合いであるものの個数を $2$ 通りに数えることで \[ m\cdot \frac{n(n-1)}2=\frac{m(m-1)}2\cdot k \implies n^2-km=n-k\] を得る. $m$ 次正方行列 $U=(u_{ij})$ を次のように定める: \[u_{ij}= \begin{cases} \cfrac{m-n+\sqrt{n-k}}{m\sqrt{n-k}} & (\text{男子}~i~\text{と女子}~j~\text{が知り合い}) \\ \cfrac{-n+\sqrt{n-k}}{m\sqrt{n-k}} & (\text{otherwise}) \end{cases}\] このとき, $U$ の行ベクトルが正規直交基底をなすことが確認できる. すなわち $U$ はユニタリ行列であり, 列ベクトルも正規直交基底をなすので, 結論を得る.

別解2. 男子と女子の人数は等しいから, これを $x$ とおく. $n=k$ のとき, $x=n$ でありすべての男女は知り合いであるから, 以下 $n\gt k$ とする. $x\times x$ の単位行列を $E$, すべての成分が $1$ の $x\times x$ 行列を $I$ とおく. $i$ 人目の男子と $j$ 人目の女子が知り合いのとき $a_{ij}=1$, それ以外のとき $a_{ij}=0$ とすることで正方行列 $A$ を構成すると, 各条件より \[AA^{\top}=kI+(n-k)E\] が従う (これを $T$ とおく). $x$ 本の列ベクトルの一次独立性より $T$ は正則で, 特に $A$ も正則である. また一つ目の条件より $AI=IA=nI$ であり, $AE=EA=A$ とあわせて $AT=TA$ が従う. よって\[A^{\top}A=A^{-1}TA=T\]であり, これが示すべきことであった.

工事中

#15
幾何
★★★★☆
KAMO 2019 問15 (兒玉)

三角形 $ABC$ において, その外心を $O$, 角 $A$ 内の傍心を $I_A$ とする. 角 $B$ の二等分線と辺 $AC$ の交点を $D$, 角 $C$ の二等分線と辺 $AB$ の交点を $E$ としたとき, $3$ 点 $D,O,E$ は同一直線上にあった. このとき $OI_A/OA$ を求めよ.

三角形 $ABC$ の外接円を $\Omega$ とし, その半径を $r$ とする. また, 三角形 $ABC$ の $\angle B, \angle C$ 内の傍心をそれぞれ $I_B,I_C$ とし, $\Omega$ と直線 $DE$ の交点を $X,Y$ とする. ただし $X,D,E,Y$ がこの順に並ぶとする.

まず, $5$ 点 $I_B,X,I,Y,I_C$ が同一円周上にあることを示す. $\angle ICI_B=\angle IAI_B=90^\circ$ より $4$ 点 $I,C,I_B,A$ は同一円周上にあるので, 方べきの定理より $DX\cdot DY=DA\cdot DC=DI\cdot DI_B$ が従う. よって $I_B,X,I,Y$ は同一円周上にあり, 同様に $I_C,Y,I,X$ も同一円周上にある. 以上より所望の共円が示された. これを $\Omega’$ とし, その中心を $O’$ とする.

$\Omega$ は三角形 $I_AI_BI_C$ の九点円であるから, 線分 $I_AI,I_AI_B,I_AI_C$ の中点を通る. よって $\Omega’$ は $\Omega$ を点 $I_A$ を中心に $2$ 倍に拡大したものであり, $\Omega’$ の半径は $2r$ である. また $OO’=OI_A$ である. 三角形 $O’XY$ は一辺が $2r$ の正三角形であり, $O$ は線分 $XY$ の中点であるから $OO’=\sqrt 3 r$ である. よって $OI_A=\sqrt 3 r$ であり, $OI_A/OA=\sqrt 3$ である.

工事中

#16
整数論
★★★★★
KAMO 2019 問16 (兒玉)

整数係数多項式 $P(x)$ について, 任意の正の整数 $n$ で $P(n)$ が平方数であるとき, ある整数係数多項式 $Q(x)$ が存在して $P(x)=Q(x)^2$ となることを示せ.

Gaussの補題より $P(x)=Q(x)^2R(x)$ と表せる. ただし, $Q(x)\in \mathbb{Z}[x]$, $R(x)$ は $1$ または相異なる既約な整数係数多項式の積である. $P(n)$ が平方数となるとき $R(n)$ も平方数となるので, 任意の $n$ について $R(n)$ は平方数である.

以下, $R(x)$ が定数でないとして矛盾を導けばよい.

補題1.

ある正の整数 $n$ が存在して $p\mid R(n)$ となるような素数 $p$ が無数に存在する.

証明.

$R(n)~(n=1,2,\dots)$ の素因数が $p_1,\dots,p_N$ の有限個と仮定する. このとき, $R(x)$ は十分大きなところで単調増加であるため, 十分大きな $M$ に対し $R(n)$ と表される $1$ 以上 $M$ 以下の整数の個数は $O(M^{1/\deg R})$ であるが, 素因数が $p_1,\dots,p_N$ のみであるような $1$ 以上 $M$ 以下の整数の個数は $O((\log M)^N)$ であるため矛盾. よって示された.

補題2.

有理数係数多項式として $\gcd(R(x),R’(x))=1$ である.

証明.

$R(x)$ の任意の根 $\alpha \in \mathbb{C}$ をとる. $\alpha$ を根に持つ有理数係数の既約多項式は, 定数倍の違いを除き唯一つ存在する. これを $p(x)$ とする. $p(x)$ は既約であるから $\gcd(p(x),p’(x))=1$ であり, $p(x)$ は $\alpha$ を重根に持たない. $R(x)$ は相異なる既約な整数係数多項式の積であったから, $R(x)$ は $\alpha$ を重根に持たず, ゆえに $R’(\alpha)\neq 0$ が従う.

補題3.

正の整数 $n$ と素数 $p$ に対し, $p\mid R(n)\implies p\mid R’(n)$.

証明.

$p\mid R(n)$ のとき $p\mid R(n+p)$ であり, さらに $R(n),R(n+p)$ はともに平方数であるため, これらは $p^2$ で割りきれる. $R(x)=a_dx^d+\cdots+a_1x+a_0$ とおくとき \begin{eqnarray*} R(n+p)-R(n)&=&a_d((n+p)^d-n^d)+\cdots+a_1((n+p)-n)\\ &\equiv&a_d(dn^{d-1}p)+\cdots+a_1p \pmod {p^2}\\ &\equiv&R’(n)p\pmod {p^2} \end{eqnarray*} であるから, $p\mid R’(n)$が示された.

補題2よりある $A_\ast(x),B_\ast(x)\in \mathbb{Q}[x]$ が存在して $A_\ast(x)R(x)+B_\ast(x)R’(x)=1$ となり, ある正の整数 $D$ によって $A(x)=DA_\ast(x)\in \mathbb{Z}[x],B(x)=DB_\ast(x)\in \mathbb{Z}[x]$ とできる. よって\[A(x)R(x)+B(x)R’(x)=D\]となる. また補題1における素数 $p$ のうち, $D$ を割りきらないものが存在するから, これを適当に $q$ とする. $q\mid R(n_q)$となるような正の整数 $n_q$ をとるとき, 補題3より $q\mid R’(n_q)$である. しかし, これは\[A(n_q)R(n_q)+B(n_q)R’(n_q)=D\] に矛盾する (左辺は $q$ の倍数だが, 右辺は $q$ の倍数でない). したがって, $R(x)$が定数であることが示された.

工事中