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数学オリンピックの1年間
更新日:2024-04-26

数学オリンピックに関連する各イベントについて、1年間の時系列によって解説を行います。なお、各年のJMO・JJMOを中心として「1年間」を捉えているため、実際には1年間を越えて重複する部分があります。

なお、正確な情報は数学オリンピック財団のHPを必ず随時ご確認ください。特に近年はコロナ禍によって様々な部分で実状が大きく変化しています。 この記事は過去の通例に則って記されているため、くれぐれも齟齬にはご注意ください。

9月上旬 JMO・JJMO募集開始

同年度の日本数学オリンピック (JMO) および日本ジュニア数学オリンピック (JJMO) の申し込みが始まります。それぞれのコンテストで独立に表彰が行われると同時に、国際数学オリンピック (IMO) の代表選考の前段階としての役割を担っています。後述する通り、二つのコンテストは同日に開催されるため、いずれかを選択する必要があります。

日本数学オリンピック (JMO) について

コンテストが開催される翌年1月の時点で、大学教育 (またはそれに相当する教育) を受けていない20歳未満の者に受験資格が存在します。したがって、例えば浪人生が受験することも可能であり、一定の入賞者がいます。ただし、IMOの選抜の対象となるのは日本国籍の高校2年生以下の受験者のみです (7月開催で年度を跨ぐため)。個人で申し込む場合の受験料は4000円ですが、学校単位で一括に申し込むと人数に応じて割引を受けることが出来ます。予選会場は各都道府県に少なくとも一ヵ所以上設けられていますが、場所ごとによって参加者数は数百人から数人まで様々です。締め切りは10月末です

財団HPの募集要綱はこちらです。正確な情報は必ずこちらを随時確認してください。

日本ジュニア数学オリンピック (JJMO) について

ジュニアという名の通り中学生以下が対象です。小学生も受験可能です。逆に中学生がJMOを受験することも可能であるため、様々な要素を良く考えて選択するべきでしょう。ただし、基本的にはJJMOを選ぶべきであることが殆どです。こちらは日本国籍である限り全員がIMOの選抜の対象となります。JMOとは完全に異なる問題が出題され、出題範囲や記法にも中学生以下に合わせて配慮がなされているように見えます。受験料は3000円で、同様に学校一括での割引があります。なお、基本的に予選会場はJMOと同一ですが、若干の違いが例年存在するので良く確認してください。締め切りは10月末です

財団HPの募集要綱はこちらです。正確な情報は必ずこちらを随時確認してください。

9月上旬 EGMO国内一次選抜募集開始

IMOと同時に忘れてはならないのが、ヨーロッパ女子数学オリンピック (EGMO) です。こちらも開催までに年度を跨ぐため、選抜の対象となるのは日本国籍の高校2年生以下で、当然ながら女子のみに資格があります。4月開催とIMOに比べて早いため、11月に先に独自の選抜試験を行い、これの上位者からJMOの予選を利用して4名に絞るという特殊な形式をとっています。このため、EGMOの選抜に参加を希望する場合は、この国内一次選抜に申し込むと同時に、さらにJMOを追加で申し込む必要があります。2つのコンテストにそれぞれ申し込みが必要な点、そしてJJMOを申し込んではならない点、これらに同時に注意してください。JMOに受験料を支払えば、この一次選抜に新たに参加費は発生しません。会場は2021年度時点では札幌・仙台・東京・大阪・福岡が設定されており、まだまだ参加人数が少ないため今後の伸びに応じて増えていくことが予想されます。JMOと締め切りが一致しないことがあるので注意してください。

財団HPの募集要綱はこちらです。正確な情報は必ずこちらを随時確認してください。

11月下旬 EGMO国内一次選抜

例年11月の第3ないし第4日曜日に開催されます。4時間 (基本的に13時から17時) で記述式の問題を4問解く形式で、1問8点の32点満点です。記述式というのは、基本的に証明を求められるタイプの問題が大半です。「最大値を求めよ」や「角度を求めよ」といった問題が出題されることもありますが、これらの問題でも必ず解答に至った道筋を記す必要があります。例年8~16点ほど、すなわち1~2完がボーダーとなり、10~20名が通過します。ただし、実力者であれば容易く全完も可能な難易度でもあるため、最終的に代表4名に入ることを目指すならば、3完以上といった結果を残すことが望ましいように思われます。通過者は12月上旬にHPに受験番号が公表されると同時に、何かしらの書類を受け取ることになります。

1月中旬 (成人の日) JMO・JJMO予選

年明け、成人の日の開催が定番となっています。JMO・JJMOともに3時間 (基本的に13時から16時) で単答式の問題を12問解く形式で、1問1点の12点満点です。単答式というのは、例えば「最大値を求めよ」や「角度を求めよ」といった問題において、最終的な答えのみを書き記せばよいということで、解答に至った道筋が評価となりません。したがって、番狂わせを容易く起こすことも可能であり、全く無理だと思っていたが通過したり、実力者がミスで落選したり、といったことが頻繁に起こります。先述した通り、JMOとJJMOでは全く異なる問題が出題され、成績処理も独立に行われます。得点に応じてAランク・Bランク・Cランクが設定され、Aランク獲得者が本選へ進みます。Aランクのボーダーはかなり問題の中身に依存しますが5~8点の範囲であることがほとんどで、JMOでは100~300名が、JJMOでは50~100名が本選へ進みます。必ずどこかの得点がカットラインとなるため、同じ得点で通過の有無に差が生じることは基本的にありません (唯一の例外は後述の予選免除です)。予選通過者は10日ほどでHPに番号が発表され、追って本選の受験票が送られてきます。また最終的には通過者全員の名簿もHPに掲示されます。また地区表彰という制度も存在し、もし惜しくもAランクを逃してしまっても、地区での成績に応じて表彰を受けられることがあります。

また、先述のEGMO国内一次選抜を通過した10~20名から代表4名を決定するプロセスがこのJMO予選によって行われます。一次選抜とJMO予選の成績それぞれを総合的に考慮して代表を決定することは言明されていますが、具体的なメソッドについては公表されていないため、少しでも良い点を取るに越したことはありません。代表は1月末にHPで発表されます。

JJMO予選はオンラインで開催されます.ご注意ください.

2月11日 JMO・JJMO本選

こちらも予選と同様に、建国記念の日での開催が定番となっています。JMO・JJMOともに4時間 (基本的に13時から17時) で記述式の問題を5問解く形式で、1問8点の40点満点です。記述式の指すところについてはEGMO一次選抜と同様です。予選に比べて会場数がかなり少なくなるため、他の科目の本選のように合宿形式ではないものの、猛者たちと顔を合わせられる良いチャンスにもなるでしょう。

JMOではこの本選の得点のみで入賞者20名ほどが決定され、基本的に2~3完の間がそのボーダーとなりますが、参加者層や問題に大きく依存するためその範囲でないことも多々あります。最高得点者が金賞、続く得点者が銀賞、続く数名が銅賞、残りが優秀賞です。また最高栄誉として「川井杯」というトロフィーが設定されており、金賞が複数出る可能性があるのに対し、答案精査などによって川井杯は必ず1名に絞られることが特徴です。なお、高1以下の入賞者は翌年のJMO予選が免除されます。会場へ赴いて試験を受ける必要はあるものの、その成績に依らず本選へ進むことが出来ます。

JJMOは少し特殊で、予選と本選の成績を総合的に評価して成績が決定されるとされています。最高得点者が金賞、続く4名ほどが銀賞、続く5名ほどが銅賞となります。より人数も少なく、方式も特殊であるため、ボーダーに関して総合的な傾向を述べることは出来ません。年によっては4完近くが必要だったこともあるようです。またJJMOには予選免除が存在しません。翌年に受験するのがJMOだとしてもJJMOだとしても、本選進出にはAランクを獲得する必要があります。

入賞者は10日ほどでHPに発表されます。表彰式は後述の代表選考合宿の期間中に開催されます。

3月中旬 APMO

アジア太平洋数学オリンピックのことで、読んで字のごとくアジアおよび環太平洋圏の諸国が参加する、日本ではシーズン最初の国際大会です。中国などの例外も存在しますが、ほとんどの対象国が参加しています。各国で独立に試験を行い、その成績を集計して全体での成績が決定されることが最大の特徴です。現在の日本では直前の高2以下のJMO入賞者およびJJMO銀賞以上が参加資格を有し、その中で上位10名の成績が日本代表として本部へ送られます。形式は4時間で記述式5問であり、1問が7点であることを除けばJMO・JJMO本選と同一です。日本での会場は基本的に東京と大阪の二つで、受験者層に応じて名古屋などが追加されることもあります。遠方からの参加である場合は交通費や場合によっては宿泊費が支給されます。時差の影響を考慮して日本では午前に9~13時などで試験が行われます。各国で獲得できるメダルの数に制限があることも特徴で、どれだけ全体の成績が良くても例えば金メダルは各国1名までしか出ません。したがって、日本選手団のレベルであれば全体のメダルボーダーは突破することがほとんどなので、金メダル1名・銀メダル2名・銅メダル4名・優秀賞3名という獲得状況でほとんど固定化されています。このAPMOをIMOなどの選抜に利用する国も少なからず存在するため、問題については長めの箝口令が設定されており、採点結果および国内での成績は早々に判明しますが、問題公開および成績発表は6月ごろになっています。

3月下旬 EGMO代表強化合宿

EGMOの代表4名が初めて顔を合わせて東京で2泊3日の合宿を行い、本番形式の演習や講義などを通じてレベルアップを図ります。後述の代表選考合宿の直前、または同時期に開催されるため、両方の参加対象となりタフな掛け持ちをすることになる人も定期的に発生します。またこれの他に2回の本番形式の通信添削によって実力向上を目指します。

3月下旬 IMO日本代表選考合宿

JMOの入賞者のうち高2以下、そしてJJMOの銀賞以上が参加対象となり、IMOへ派遣される6名を決定する、シーズンで最大規模のコンテストです。4時間半で記述式の問題3問が出題されるIMOと同等の形式を4日間続けて行い、1問7点の84点満点で代表を決定します。A・C・G・Nの4分野から1番級・2番級・3番級それぞれがすべて出題され、総合的な数オリ力を問われると同時に、4日間のハードな試験を乗り切るタフさが求められるため、本選の結果とはかなり様相が変わることも多いです。日程は4泊5日または5泊6日であり、試験のほかにも演習や講義が実施される大規模な合宿イベントです。各日の夜にはチューターも入り混じってカードゲームなどで遊んだり談笑したりすることが慣例となっており、こうした交流も重要な一面となっています。国立オリンピック記念青少年総合センター (いわゆるオリセン) が例年舞台となってきましたが、近年はコロナ禍でホテルでの開催が続いており、関東勢は自宅通いとなるなど、残念ながら試験以外の要素は最低限に切り詰めての実施となっています。距離に応じて交通費が支給されるほか、食事や宿泊に伴う費用について自己負担は一切ありません。代表6名は4月上旬にHPへ掲示されます。

4月中旬 EGMO

将来的に追記予定です。

4月下旬~5月初旬 IMO代表強化合宿

東京で2泊3日の合宿を行い、本番形式の演習や講義などを通じてレベルアップを計ります。ゴールデンウィークでの開催が定番となっています。またこれの他に4回の本番形式の通信添削によって実力向上を目指します。

5~6月ごろ JMO夏季セミナー参加募集期間

JMO夏季セミナー(夏季セミ)は8月に6泊7日にわたって行われるイベントです。イベントの詳しい内容は後述します。前年度の代表選考合宿の参加資格者、そしてEGMOの日本代表に優先的に参加権があり、これらをみたす場合は希望を出せば自動的に参加可能です。それ以外にも、全体で参加者が20~30名程度となるようにレポート枠が設定されており、高2以下である限り応募する権利があります。レポートの形式には大きな縛りはありませんが、数学について如何にちゃんと理解しており、かつ如何に情熱を抱いているかをアピールすることが大切なのではないかと思います。参加の可否は〆切から間もなく通達されます。

7月中旬 IMO

将来的に追記予定です。

8月 JMO夏季セミナー

先述の通り、夏休みに6泊7日で開催されるセミナーです。かつては開催地を定期的に変えてきましたが、2007年より清里高原に位置するヴィラ千ヶ滝という宿で永らく固定されています。内容は数学オリンピックとは全く関係なく、むしろ純粋数学を扱うイベントとなっています。セミナーという名である通り、数名の参加者と1~2名のチューターからなる班で1冊の数学書を1週間かけて輪読するというのが基本のコンセプトです。選択する数学書のラインナップは様々な分野・難易度から設定されており、熟練者が腰を据えて臨める難易度の高い洋書から、未経験者が気軽に臨める読み物的なものまで、幅広いニーズに応えることが出来るようになっています。代表選考合宿と同様に、各日の夜にはチューターも入り混じってカードゲームなどで遊んだり談笑したりすることが慣例となっており、こうした交流も重要な一面となっています。距離に応じて交通費が支給されるほか、食事や宿泊に伴う費用について自己負担は一切ありません。全国津々浦々の数学好きと交わる貴重な機会なので、ぜひ興味のある人は積極的に検討してみてください。

夏季セミナーHPはこちらです。正確な情報は必ずこちらを随時確認してください。